時をかける少女

時をかける少女は、上映館数が少なかった。都内で新宿だけだった。

あのね、これは、とてももったいないです。
多くの人に見ていただきたい映画ですよ。

正直、脚本も佳作だし、演出も極上だと思います。
僕の中では、2006年視聴映画暫定チャンピオンですよ。

アニメだというのが、興行的に悪く作用したなら大変残念です。
かなり、上等な作品だと思うんですがね。


兎に角、この手の時間フィードバックものではありがちな
「同じ状況の繰り返し」(お笑い用語で言う天丼かな?)
が、巧い巧い。

あと、後半のハッピーエンドに向けてのネタも巧みだし、
中盤で主人公がおかれる危機的状況の、
メタ的なリアリティ
(つまり、この映画を見ている人が
「いやあ、この危機的状況は、この映画がエンタメとして成立するためには、何らかの形で、ハッピーに収束するに違いない」
と確信させない程度の、危機的状況ということ。

具体的には、
仮にもエンタテイメントなら「主人公死亡」はあり得ないが、
「主人公の知人死亡」なら、それなりに、ありえるかもしれないということ。

例えば、
M:I:2では、イーサンハントが途中で殺されるように見える状況があったが、
それは、あまりにも映画として不味すぎるので、視聴者が
「主人公がいかにしてその危機を乗り越えるかはわからないけれど、とりあ得ず助かるに違いない」
と思ってしまう。これは、メタ的なリアリティが無い例である
よく、2時間ドラマで、「トリックは分からないが、犯人は分かる」
という状況があるが、あれも似たような失敗であると言えなくもない)
も十分でした。

あと、未来人の発見も、本来唐突に感じられても仕方ないはずなんですが、
かなり自然に感じられました。(これは原作を読んでいたからかもしれません)

無駄そうなカットもありませんでしたし、大変美味しくいただきました。